百余年にわたり博多っ子に愛されている博多唯一の造り酒屋
博多の街に唯一残る酒造場で日本の文化と知恵が凝縮された酒造りの技を明治以来絶やすことなく受け継いでいます。
黒田官兵衛の時代に遡る歴史
石蔵酒造の歴史は、黒田家の播州播磨(現在の姫路)時代からの御用商人であった「石蔵屋」まで遡ります。
関ヶ原の戦いでの功績により、黒田官兵衛・長政親子が筑前福岡藩主の命を受けた際、石蔵屋もこれに帯同して博多入りし、博多商人としての歴史が始まりました。
江戸時代の石蔵屋は、主に博多~壱岐・対馬間の廻船問屋(海運業)を営んでおり、江戸時代後期になり酒造業にも参入しました。
また、幕末維新の際には、福岡藩の加藤司書、長州藩の高杉晋作、薩摩藩の西郷隆盛との密約の場として奥座敷を提供した商家としても知られています。
現在の酒蔵(博多百年蔵)は、石蔵屋の第2酒造場として、明治3年に建造されたものです。
- 晩年の黒田官兵衛
- 当時の酒造りの様子
登録有形文化財
街の景観としての百年蔵
明治以来、150年以上に亘ってその趣を受け継いできた博多百年蔵。
昔ながらの白壁土蔵にレンガの煙突をもつ佇まいは、街の景観の一部として親しまれています。
2011年1月には、国土の歴史的景観に寄与する、再現することが容易でない建物の一つとして、国の登録有形文化財となりました。
歴史あるこの場所を、博多の街の大切な景観の一部として守ることも、弊社の一つの使命と考えています。
博多百年蔵の今
近年では「博多百年蔵」の愛称で呼ばれることが多くなった酒蔵。博多に残る唯一の「現役の酒造場」として、今もなお昔ながらの酒造りが続けられている場所であると同時に、街中に残る歴史ある空間として、披露宴やコンサート等も開かれる場所となっています。
2015年6月には、敷地内4棟目となる新酒造場「白壁蔵」も竣工し、博多の酒造りの歴史を末永く受け継いでいく決意を新たにしました。
2011年 火災の記憶
2011年10月8日、博多百年蔵は漏電により約1000m²を焼失する火災に見舞われました。
幸いにも負傷者や延焼はありませんでしたが、この火災により、沢山のお客様と地域の皆様に多くのご迷惑とご心配をお掛けしたことは、当社にとっては痛恨の極みであり、2度と繰り返してはならないものと深く反省をしております。
一方で火災当日以降、多くのお客様・お取引先様・地域の皆様からの温かいご声援・ご支援をいただき、復旧と復興に向けた当社にとって最大の力となりました。
地域の風景ともなっている博多百年蔵を末永く受け継いでいくことが、皆様からのご厚情への最大の恩返しと考えて、今後とも地域の一員として社業に精進して参る所存です。